「戦争広告代理店」世界はPRで出来ている
戦争広告代理店
PR関連のノウハウ本を読もうと思ってAmazonを探索していたところ、この本がヒット
中身は実際にあったノンフィクションもので、ノウハウ本ではなかったが内容が気になって購入しました
主人公は政治とは無縁の人物で、アメリカのPR企業に努めているビジネスマンです
その彼が依頼をうけたのは、某国の外務大臣
外務大臣の国は戦争によって滅亡の危機に貧していて、状況を打破するためにアメリカにやってきのだった
なかなか濃い内容の本で、スケールは大きいです
PR企業のビジネスマンと、某国の外務大臣がタッグを組み1つの目的に向かって行動します
その目的とは、某国の戦争にアメリカを軍事介入させ、戦争を終結させること
ボスニア・ヘルツェゴビナとユーゴスラビア連邦の戦争でボスニア側に勝利をもたらすことが目的です
最初は小さい影響しか与えられなかったものの
次第に世論に影響をあたえ
政治を動かし、そして世界を動かし
最後には戦争の結末を操作しました
ボスニア・ヘルツェゴビナとユーゴスラビア連邦の戦争
それはどちらが悪でどちらが正義かなどは明確でなく
どちらもやっていることは同じであり、互いに悪であった
だがPR活動によって、悪のレッテルを一方的に貼り付け
世界は悪のレッテルがはられている方を攻撃した
すべては彼のPR活動の結果です
彼はまず、世論に影響を与えるためにTVなどのメディアと接触します
テレビ局、新聞社、その他、大小かかわらず接触し
記事を書いてもらうかわりに特ダネを与え続けます
最初は「ボスニア?なにそれ、おいしいの?」状態
そもそも、アフリカではボスニアより何倍も悲惨な戦争が続いているというのに何故ボスニアの戦争を特集しなくてはならないのか
そのくらい弱い立場から始まります
ただこの活動を地道に続けることで次第に世論は動いていきます
その結果、世論の操作には成功します
ですがまだ上辺だけ。
本当に詳しい人には影響を与えられません
つまり世間は騙せても、政治家や官僚には影響を与えられないのです
ただし政治は民主主義です
PR活動によって悪のレッテルが貼られた国をかばうような発言をした政治家達は次々と辞任に追い込まれてしまいます
これにより政治家は、支持を獲得することを目的として、悪のレッテルが貼られた国を糾弾する発言をするのです
この流れは次第に世界を動かしていく・・・
といった内容です
まさに、世界の情報戦の実情を描いた一冊
この本は、公共の関係性や影響をあたえる方法、そしてその裏側、心理まで描かれており
一般人では経験することがないような出来事を体験することができます
世界を支配するのは金でも力でもなく、PRなのかもしれません
これを読んで感じたのは、海外ではこういったPR戦略がごく一般的に使用されており
日本では疎まれる傾向があるな ということです
ボスニアのことわざに「泣かない赤ちゃんはミルクをもらえない」という言葉があるそうですが
日本人の感覚からすると、そのことわざは少し無粋というか、美しくない感覚に思えますよね
それは人として重要な感覚だと思うのですが、勝負する時、世論に影響を与えたい時はそうも言ってはいられません
重要なエッセンスが色々と詰まった一冊ですが、まず第一に
「声が大きい人が影響力を持つ」という単純な仕組みを体験した気がしました