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明日使える中二知識

ももたろう

「北の街が壊滅した!」

それは突然知らされた
北の街といえばこの街からそう離れていない、一日もかからず着いてしまう距離だ

この情報は「のろし」によって知らされた情報である
仲間が伝えてくれたのだ
逃げる時間を削って、私達の命を守るために

あたりは騒然とした

時間は夕方の6時
もう空は薄暗く、移動するには適さない時間だったがそんなことも言っていられない
このままでは”やつら”は明日中にもここへ来てしまう
そうなれば全滅だ
”やつら”は我々を殺して回っているのだ
一刻も早く行動しなければならない

皆は大慌てで逃げ支度を開始した


あたりが慌てふためく中、一人がつぶやいた

「なぁ、やつらはなんで我々を殺すんだ?
 やつらに目的があるならそれを渡し、命を助けてもらうことはできないのか?」

当然の疑問だった、我々の目的はただ生きることで、やつらに危害を加えるつもりもない
やつらに何か目的があるのなら、それに協力して見逃してもらうのは真っ当な考えである

走り回っていた者が一人、また一人と足を止めこの案について相談をはじめた
皆わらにもすがる思いでこの案の実現に知恵をだす

その時だ
「やつらに目的などありゃせんよ」

声をはさんだのは、長老だった

「やつらの目的はの、我々を殺すことじゃ」

明るくなり始めた空気が一瞬にして静まり返る

「やつらの頭領”ももたろう”はの、われらを殺すことだけを教えられて育った人物じゃ
やつの親は毎日毎日われらを殺す方法を教え続け
成人するまでそれ以外のことを教えんかったそうじゃ」

鬼たちは信じられない言葉に絶望した
殺すことが目的だと!?そんなもの、一体どうすればいいんだ

長老は続けた

「だが手はある」

皆が一斉に、祈るように長老を見つめる

「我々を殺すように育てられたのは桃太郎ただ一人じゃ
だがなぜ、それ付き従うものがいる?」

金か、力による支配か

「薬物じゃよ
桃太郎はの、団子と呼ばれる薬物をあたえ仲間を縛っているんじゃ。
団子はの、一度食べるとそのことしか考えられなくなる
食べたものはそれを貰うために従い続けるのじゃ
つまり桃太郎以外は我々を殺すことが目的ではない
桃太郎さえ殺すことができれば、やつらに我々を殺す理由はなくなるのじゃ」


鬼たちは桃太郎の想像以上の悪意にぞっとしつつも一縷の望みを抱き始めていた

こうして鬼たちは、次の日を自分の村で迎えることになる
自分たちの未来を守ることを決意したのだった